奈良に住んで11回目の秋を迎えました。
いいところです。
とかいって、ホントのことを言えば、東京にいたころは“奈良県”の場所を考えたこともなかったのです。
2008年夏、東京の大学にあった研究室が10月に同志社に移ることが決まり、あわててネットで京都市内で住処を探してみたものの、なかなかピンとくるものに当たらない。
とりあえず、研究室の引っ越し作業だけでも大変なので、私の家探しは研究室が移ってからでもいいかな…と思っていました。
たまたま仕事の関係でよく連絡をとっていた大阪の方から「引っ越し先はみつかりましたか?」と聞かれ、「京都で探してみたんですけど、なかなかねぇ」とお答えすると、「おのさん、木津川市ですよね?それやったら京都より奈良ちゃいますか?」と。
奈良?
奈良ってどこだっけ?
というのが正直な気持ちで…今思えば、ひどい話です。
そのときすでに9月も半ばになってました。
あわてて調べてみると、研究室の移動先の “木津川市”は京都府の最南端で隣は奈良市。
では、奈良市で探してみるか…と検索したところ、1件だけ、これなら住んでみたい!という物件にあたり、9月下旬の大阪出張の際に内見して、もう心は決まりました。
研究室が10月1日に始まることもあり、私がその家に入ることはできたのは、10月4日でしたけど。(それまでは、けいはんなプラザホテルに泊まってました。)
さらに、東京の家財を奈良に移動させるには行ったり来たりしながら2ヶ月を要したのですが、今もまだ、10年前の怒涛の流れは鮮明に記憶に残っています。
そんな流れにのって住むことになりましたが、10年の間に奈良の四季は私の中に刻み込まれ、今なお新鮮に映ります。あまり奈良でゆっくりできる時間がなかったからかもしれませんけど。
奈良の歳事は挙げればキリがないですが、私が毎年「確認」しているのは、東大寺の修二会(お水取り)と正倉院展。お水取りがなければ春が始まらないし、正倉院展がなければ秋が深まらない。そして、毎年「確認」するたびに奈良に住めたことの幸せをかみしめています。
「わたしは、奈良派。」
という近鉄の広告を見るたびに、「はぁ~い!」と心の中で手をあげ、11年目も楽しみます。
ちなみに。
“お水取り”について語るとしつこい!長い!と皆さまから苦笑いされますので、その話はまた今度。