2018年8月23日 第12回定期セミナーを開催しました。
定期セミナーは、人の発達にかかわる様々な研究者を結びつけ、最新の赤ちゃん学の知見を得ていただき、情報共有の場となることを目指し、2016年度から「文部科学省認定 共同利用・共同研究拠点」の事業の一環として行っています。
今回は、「ガンバの冒険シリーズ」の作者で、福音館書店編集者としても長年子どもの本の編集に携わってこられ、現在は幼児教育の現場でも活躍されている斎藤惇夫先生をお迎えして、「子どもの成長と絵本」をテーマに開催いたしました。
19世紀の終わりに誕生した近代絵本の代表作であるコールデコットのわらべうたの絵本3冊を、斎藤先生の奥さまの優しい朗読を挟みながら、紹介していただきました。
絵本誕生期のコールデコットの絵本に兼ね備えられている「絵として優れていること」、「物語として優れていること」、「ユーモアがあること」という、良い絵本の基本となる点について解説していただき、また、コールデコットの絵本に影響を受け登場したポター、ブルックの作品についてもご紹介いただきました。
講演の最後には、子どもが最初に出会う「絵本」がその後の人生においても影響を与えることを考え、世代を渡って読み継がれる名作を子どもたちと楽しんでください、と締めくくられました。
当日は台風20号が接近していましたが、たくさんの方に参加いただきました。会場には斎藤先生が所有していらっしゃる貴重な絵本が並べられ、参加者の皆さんは手に取って興味深そうにご覧になっていました。
参加者からは「絵本に描かれている絵の奥深さ、絵を読み取るおもしろさを感じました」「子どもたちには質の良い絵本を読み聞かせたいと思います」などの感想をいただき、有意義なセミナーとなりました。
次回の定期セミナーは2018年10月4日(木)、京都国際社会福祉センター発達研究所研究員で臨床心理士の大谷 多加志先生をお迎えして、「赤ちゃんのそだちをどう見るのか〜発達評価、発達アセスメントの視点から」をテーマに開催する予定です。
ぜひお越しください。
2018年6月19日 第11回定期セミナーを開催しました。
定期セミナーは、人の発達にかかわる様々な研究者を結びつけ、最新の赤ちゃん学の知見を得ていただき、情報共有の場となることを目指し、2016年度から「文部科学省認定 共同利用・共同研究拠点」の事業の一環として行っています。
今年度、最初の定期セミナーは、環境と子どもの発達・健康をキーワードに、平林今日子先生(京都大学 医学研究科 特定助教)、加藤承彦先生(国立成育医療研究センター 社会医学研究部 行動科学研究室 室長)にお話しいただきました。
平林先生には、「カザフスタン・セミパラチンスク核実験場近郊に住む子どもたち」をテーマに、核実験場周辺地域でのフィールドワークを通じて明らかになった「いのち・くらし・こころ」全般にわたる被害の実態と、現代まで続く影響について紹介していただきました。平林先生が現地で行った障がいや疾患を持つ子どもや保護者へのインタビューの内容からは、核実験は過去のものではなく今現在に続いている問題であるということ、現地の親子が様々な想いを抱えていることが伝わり、参加者の皆さまも熱心に耳を傾けられていました。
セミナーの後半は、加藤先生に「社会疫学の観点から見た乳幼児期の子どもの健康と発達~大規模縦断調査の分析からわかること~」をテーマに講演いただきました。
学歴や経済状況などの社会的要因が個人の健康にどのように影響を及ぼすのかを分析する「社会疫学」という学問分野に、加藤先生が関心を持つきっかけとなったアメリカでのエピソードから始まり、子どもの健康や発達と社会的要因との関係性について、様々な調査データとその分析から得られた研究成果、また今進められている研究についてご紹介くださいました。
講演の最後には、様々な立場・分野の参加者から意見・質問が挙がり、大規模縦断調査の重要性や社会疫学の可能性について活発なディスカッションが展開されました。
次回の定期セミナーは2018年8月23日(木)、児童文学作家で現在は幼児教育の現場でも活躍される斎藤惇夫先生をお迎えして、「子どもの成長と絵本」をテーマに開催する予定です。ぜひお越しください。
2018年6月2日(土)10時~11時 第8回「赤ちゃん学カフェ」を開催いたしました。
今回は当センターの研究者である加藤正晴より「子育てからはじまる科学」と題しての講演がありました。男性が家事をやらない都道府県や、男性の育児休暇取得についてのデータの紹介など、自身も2児の父親という立場ならではの男性目線の子育てについての話や、動物の養育行動の話などがあり、参加者の皆さまも熱心に耳を傾けられていました。
当日はお子様とご一緒に参加して下さった方、お一人で参加下さった方など36人の方々に来ていただきました。こちらで準備したマットの上で小さなお子様とお茶を飲みながら、また椅子に座って熱心にメモを取る方などそれぞれのスタイルでご参加いただきました。リラックスして専門的な話を聞けて良かったと、私たちが一番嬉しいご意見もいただきました。
また今回は「里山キャンパス」様より柿の葉茶をご提供いただきました。爽やかな香りでビタミンCも多く含まれており初夏にピッタリでした。ありがとうございました。
なお、続編のご要望を多数いただいたため、8月5日(日)に『第9回赤ちゃん学カフェ』を開催することとなりました。今回ご参加いただいた皆さま、また都合が合わなくて参加できなかった・・・という皆さま、たくさんのご参加お待ちしております!!
2月3日、寒い日が続いた土曜日、インフルエンザも大流行の中、皆さん来てくださるかな〜と心配していましたが、お父さん、お母さんと一緒に、にこにこ笑顔の赤ちゃん、元気な子どもたちが集まって、いつもどおり、にぎやかに、なごやかに講義が始まりました.
赤ちゃんがどんなふうに世界を見ているのか、何が赤ちゃんの興味をひき、見る力はどのように発達していくのか、これまでの様々な研究を紹介しながら、赤ちゃんの視覚の成立についてお話が進み、その後、実際に視線計測装置を使って二人の赤ちゃんの視線を計測し、赤ちゃんが人の顔のどこに注目しているかを皆さんにお伝えしました。
ティータイムのスペシャルティーは、経済学部の岸基史先生にご持参いただいた「ハブ茶」、まめ科の一年草、エビス草(夷草)の種子を乾燥させ煎ってお茶にしたものです。漢方ではエビス草の種子を「決明子(けつめいし)」と呼ぶそうで、これは「明(めい)を決(ひら)く」、つまり目が良くなるということから名がついたといわれています。
香ばしく口当たりの良いお茶は大人気で、あっという間に用意していただいたポットが空っぽになりました。岸先生、今回のテーマにぴったりのお茶をありがとうございました。
ご参加くださった方より、「未知の世界だった赤ちゃんのことが学べてよかったです。」「実際の研究の映像を見せていただいたのでとてもわかりやすかったです。」と感想をいただきました。これからも「赤ちゃんの不思議な世界」を科学的にそしてわかりやすくお伝えできるように赤ちゃん学カフェを続けていけたらいいなと思います。