今回は「あといはどっちが大きい?~言葉の学習を支える音と意味の不思議な関係」をテーマに、同志社大学大学院 生命医科学研究科板垣沙知さんより『乳幼児の言語獲得の過程』についてお話ししていただきました。
板垣さんは、2018年5月29日~2019年3月31日赤ちゃん学研究センターで102名の乳幼児(9ヶ月・12ヶ月・15ヶ月)の調査を実施し、以下の結果を報告してくださいました。
本研究では、乳幼児はより複雑な物や顔に見える方を好んで見るという特性を用いて調査を行いました。
その結果、「月齢に関わらず、尖った方が好き、大きいボールへの注視時間が長い」、「顔の一部を見る調査では、丸みを帯びた図形への注視時間が長くなる」ということが分かりました。
また、経験や学習による音と視覚のイメージの結びつき(SoundSymbolism)の獲得時期や、言語獲得の補助を担う可能性、発話に関する運動と言語獲得との関連性などの報告がありました。
ご参加いただいた方からは、「研究結果をフィードバックしていただけるのは嬉しいです」、「赤ちゃんでもしっかり理解できているんだと知ってすごいと思いました」などの感想をいただきました。
また「皆さんの意見や感想交換の時間をとってもらえると面白い思いました」とのご意見もあり、今後の参考にさせていただきます。
たくさんのご参加ありがとうございました!
今回は「睡眠がささえる子どもの成長~心も体も健康に」をテーマに、学研都市病院小児科部長の渡部先生より『睡眠の大切さ』についてお話ししていただきました。
寝ている間に脳は情報を整理したり、成長に必要な働きをしていること、特に乳幼児期の質の良い睡眠は健やかな子どもの成長につながることを教わりました。そのためには、十分な睡眠時間をとり、また寝る時間や起きる時間も一定にすることがとても大切で、学校生活をスムーズに送るためにも早い時期からしっかり準備をすることが必要であると学びました。
今できることからはじめてみませんかということで、朝食をきちんととる、夕食時間・入浴時間など生活習慣の見直し、家族全員で就寝してみるのもいいのではとのご提案がありました。
ご参加いただいた方からは、「睡眠は大切とは知っていたけれど、それが具体的にわかって良かった」、「親自身も生活習慣を見直してみるのも必要と感じました」などの感想をいただきました。
また今回はいっしょに来ていていただいたお子さんへ、「泉のたまご」の皆さんがお話し会を開催してくださり、楽しいひとときを過ごすことができました。
たくさんのご参加ありがとうございました!
2019年2月28日 第14回定期セミナーを開催しました。
定期セミナーは、人の発達にかかわる様々な研究者を結びつけ、最新の赤ちゃん学の知見を得ていただき、情報共有の場となることを目指し、2016年度から文部科学省認定 共同利用・共同研究拠点の事業の一環として行っています。
今回は、高橋 翠先生(東京大学大学院教育学研究科 附属 発達保育実践政策学センター(Cedep)特定助教)、佐治 量哉先生(玉川大学大学院 脳科学研究科 准教授/赤ちゃんラボ 研究員)をお招きし、それぞれの赤ちゃん研究拠点での研究についてご講演いただきました。
髙橋先生に講演いただいた「我が国の乳児保育の実態と課題を探る~全国保育・幼児教育施設大規模調査結果から~」では、まず「保育の質」とは子どもの幸福や発達を中核とした多層構造を成していること、保育者、園、国や自治体等の行政が相関して多層システム全体が上手く機能することでもたらされるものであることをお話しいただきました。その上で、2015年度末に実施された「全国保育・幼児教育施設大規模調査」の結果からみえてきた、日本の保育の実態と課題、そして、今後の「保育の質」の向上のために保育者を取り巻く労働環境の改善や保護者・地域の参画が重要であることを聞かせていただきました。
セミナーの後半は、佐治先生に「見た目ではわからない赤ちゃんの眠り~睡眠脳波研究が拓く生後1年間の眠り~」をテーマにお話いただきました。
赤ちゃんの眠りには、生物種を超えて哺乳類に共通する眠りのスタイルと、ヒトに特有な眠りのスタイルの2つが共存していること。生後1年間の赤ちゃんの眠りは、これらが時間的・内容的に巧みに組み合わさっていくことをお話され、その生後1年間の眠りを睡眠脳波研究の立場から分析した結果をご紹介いただきました。
「眠り」は、目に見えない土壌のような役割を持ち、赤ちゃんの発育・発達に重要な役割を果たすこと、そして良い睡眠のために環境を整えてあげることの必要性についてご提案くださりました。
今年度開催の定期セミナーは今回が最終となります。今年度開催した4回の定期セミナーと合同シンポジウムでは、多様な分野の先生方にご講演いただき、また研究者、保育・医療の現場でお仕事をされている方、赤ちゃんを連れた保護者の方など、様々な立場の皆さまにご参加いただきました。ありがとうございました。
このような基礎研究と実際の現場とが交流する場となる機会を、今後も企画していきたいと思います。
2月23日(土)に第12回赤ちゃん学カフェを開催しました。春の訪れを感じる暖かな日差しの中、たくさんの方にご参加いただきました。
今回は心理学を専門とする箕浦有希久さんに『子どもは自分のことをどう見ているのでしょう~自尊感情について考える~』をテーマに、「自尊感情ってなに?」というところからお話を始めていただきました。箕浦さんが研究を進めている「自尊感情の尺度」についてお話は続き、最後には参加して下さった方々に、ワークシートを体験していただきました。
アンケートには、「どのように子どもにかかわれば良いのか、ヒントをいただきました。」 「ワークシートを体験したことで、日ごろ意識していなかった点から子どものことを振り返ることができました。」などの感想をいただきました。
お子さんたちには、ちょっとしたお楽しみを準備しました。隣の部屋で「ボウリング」や「さかな釣りゲーム」「缶バッジ作り」「わなげ」などをして、一緒に楽しい時間を過ごすことができました。
こんなかわいい缶バッジが出来上がりました!!