この度、赤ちゃん学研究センター加藤正晴准教授の論文が日本音響学会誌に掲載されました。
【タイトル】発達科学から見た多感覚統合の世界
【著者】加藤正晴
【掲載誌】日本音響学会誌
【概要】新生児において物体の形状における触覚と視覚の対応づけがすでにできることを示したMeltzoffとBortonのおしゃぶり実験や、聴覚(音声)と視覚(口の形)の対応づけがすでにできることを示したKuhlとMetlzoffの実験は発達の分野における感覚統合の代表的な研究として大変有名です。これらの研究はそれまで学習によって感覚間の「対応づけ」がなされていると思われていた観念を大きく覆した研究でした。しかし複数感覚が存在することで、より詳しく、素早く世界を知覚する、あるいは信頼性の高い感覚情報をもとに別の感覚を育てるといった現象がおきるのか、言い換えると、「統合する」能力がいつから芽生えるのかについてはあまり研究も多くありませんでした。しかし、2010年ぐらいから感覚「統合」の発達研究が徐々に盛んになり今まさにホットなトピックになっています。
本解説記事はこの最新の研究動向を日本語で解説した記事となります。わかってきたことは、対応づけは生後ごく早い時期から成立している一方で、統合には時間がかかり、10歳近くまでできていないらしいということです。Goriらは、成人の感覚統合の研究を大きく進展させたErnstらの最尤推定モデルの考え方を幼児研究に導入し、こうしたことを明らかにしてきました。本解説記事ではGoriらの研究についても詳しく紹介しています。
さらに感覚統合と発達障害の一つである自閉症スペクトラム(ASD)との関係についても近年注目されるようになってきました。本解説記事でも、ASDの早期発見のための兆候の一つとしてASD児の感覚統合の非典型性についても紹介しました。
論文はこちらからご覧ください。
赤ちゃん学研究センターでは、昨年に引き続きの計画共同研究の特設枠として新型コロナウイルス感染症に関する「特別研究課題」について、2021年2月15日~3月8日まで公募いたします。
※「一般共同研究」については通年公募しております。
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この度、赤ちゃん学研究センター孟憲巍助教の論文がNeuropsychologiaに掲載されました。
【タイトル】Neural basis for egalitarian sharing in five-to six-year-old children
邦題:5-6歳児における平等分配の神経基盤
【著者】孟憲巍、森口佑介
【掲載誌】Neuropsychologia
【概要】幼い子どもは半分こするのが良いことだ理解しているにもかかわらず、自分の好きなものを相手に半分こすることに対してよく抵抗します。なぜでしょうか。
今回の研究では、5-6歳児がものを分配している際の脳活動を測定しました。その結果、自分のものを他者に平等に分配するときには、背外側前頭前野の活動がみられました。一方、自分が所有していないもの(誰かのもの)を他者に平等に分配するときには、背外側前頭前野の活動がみられませんでした。背外側前頭前野は、がまんすることと関連しており、成長とともに発達すると知られています。 今回の研究から、子どもが半分こするときに自分の利益の損失をがまんしている可能性が示されました。
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文部科学省共同利用・共同研究拠点/大学共同利用機関 連携シンポジウム「異分野融合によるヒトの社会性の理解を目指して」
この度、玉川大学にて文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定されている3拠点(玉川大学社会神経科学研究拠点、同志社大学赤ちゃん学研究拠点、昭和大学発達障害研究拠点)と大学共同利用機関である自然科学研究機構生理学研究所が拠点間の連携と協力体制を構築することを目的に、シンポジウムが開催されます。今回のシンポジウムでは、すべての拠点で共通の研究テーマとなっている「社会性」を様々な研究分野から紐解き、今後の異分野融合研究の可能性を探ることを目的としています。
赤ちゃん学研究センターからは、板倉センター長、加藤正晴准教授、孟憲巍助教が登壇いたします。
日 時 令和3年2月27日(土)13時00分〜17時30分
場 所 オンライン開催(Zoomでの開催)
定 員 先着300名(ホームページによる事前登録が必要)
申込期限 令和3年2月23日(火)17時00分
詳細はこちらをご覧ください