「赤ちゃん学に関連する新型コロナウイルス感染症に係る研究課題」として2020年度に採択された、大阪医科薬科大学佐々木綾子先生の研究成果の特設ページが同大学で公表されました。
研究成果だけではなく、感染と感染予防対策、子どもと子育て世代に対する支援に関する役立つ情報も掲載されていますので、コロナ禍を乗り切るヒントとしてご参照ください。
大阪医科薬科大学HP 特設ページこちらから
【研究課題名】
「Web支援システム構築のための新型コロナウイルス感染症が乳幼児と親をとりまく育児環境の変化に及ぼす影響の実態調査」
【研究の概要】
新型コロナウイルス感染症の大流行により、乳幼児を持つ親たちはどのようなストレスや困難を感じ、どのように対応したのか?逆に得たものは何かをweb調査によって明らかにし、災害状況下での新たな支援のあり方の基礎資料とする。感染予防対策、子どもの変化、困りごと、ストレス、国や自治体・メディアに求めること等の実態を調査し対象者の特性と実態の関係を解明、具体的支援方法をまとめ、HP上にWeb支援システムを構築・発表する。
10月9日(土)にzoomを利用して、第9回赤ちゃん学コロキウム「赤ちゃんの目からみる~シリーズ②~」を開催いたします。
詳しくはこちらをご覧ください。
皆さまのご参加をお待ちしております。
この度、孟憲巍先生(元赤ちゃん学研究センター、現在は大阪大学)と赤ちゃん学研究センターの板倉センター長、加藤准教授の共著論文がSocial Development に掲載されました。
【タイトル】Development of synchrony-dominant expectations in observers
邦題: 集団の同期性に基づく優位性評価の発達
【著者】Xianwei Meng,Masaharu Kato,Shoji Itakura
【掲載誌】Social Development
詳細はこちらから
【概要】
同期性は、古くから集団儀式の欠かせない要素である。メンバー同士の同期した動きは、その集団内の高い凝集性や心理的繋がりのシグナルとして機能すると考えられてきた。近年、特にその凝集性の知覚が、「同期する集団が強い」という感覚を引き起こすことが提唱されてきたが、 「同期=強い」という評価バイアスの発達過程は明らかではなかった。本研究では、動きが同期する集団と同期しない集団のアニメーションを参加者に見てもらい、競合場面において「団体戦」と「個人戦」の勝敗を予測させた。その結果、同期性による偏りが、「個人戦」ではなく、「団体戦」の予測において見られた。具体的には、「同期する集団が団体戦に勝つ」という予測が成人(実験1)と7-8歳児(実験3)では見られ、5-6歳児(実験2)では見られなかった。また、予測理由は「連携がいいから、ひとつになっているから」など集団凝集性に言及するものがほとんどであった。これらの結果から、同期する集団に優位性を帰属する傾向が学童期で発達すること、そしてその判断には集団凝集性の認知が重要であることが明らかになった。
当センター所属 石橋美香子特別研究員の論文が「Infant Behavior and Development」に掲載されました。
【タイトル】
Children’s scale errors and object processing: Early evidence for cross-cultural differences
邦題:幼児のスケールエラーと物体処理における文化差
【著者】
Ishibashi, M., Twomey, K. E., Westermann, G., & Uehara, I
(石橋美香子,Katherine E Twomey, Gert Westermann, 上原泉)
【掲載雑誌】Infant Behavior and Development
論文はこちらからご覧ください。
【概要】スケールエラーとは、幼児が非常に小さな物体に自分の体を無理やり当てはめようとする行動を指します。しかしスケールエラーがなぜ起こるのかについては多くが分かっておりません。本研究では、日本と英国の幼児を対象に、スケールエラーと幼児の物体の特徴理解についての関係を調べました。その結果、英幼児は物体の特徴など細かな部分を見る傾向があり、また、その傾向とスケールエラーの生成に関連が示されました。一方、日幼児では物体の周辺などを見る傾向があり、その傾向とスケールエラーの生成との関連は示されませんでした。こうした物体処理の文化差がスケールエラー生成の違いとして反映されているのかもしれません。引き続きスケールエラーの生成が子どもの発達にどのように影響するのかを調べることで、スケールエラーの原因について明らかにして参りたいと思います。