この度、孟憲巍先生(元赤ちゃん学研究センター、現在は大阪大学)と赤ちゃん学研究センターの板倉センター長、加藤准教授の共著論文がSocial Development に掲載されました。
【タイトル】Development of synchrony-dominant expectations in observers
邦題: 集団の同期性に基づく優位性評価の発達
【著者】Xianwei Meng,Masaharu Kato,Shoji Itakura
【掲載誌】Social Development
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【概要】
同期性は、古くから集団儀式の欠かせない要素である。メンバー同士の同期した動きは、その集団内の高い凝集性や心理的繋がりのシグナルとして機能すると考えられてきた。近年、特にその凝集性の知覚が、「同期する集団が強い」という感覚を引き起こすことが提唱されてきたが、 「同期=強い」という評価バイアスの発達過程は明らかではなかった。本研究では、動きが同期する集団と同期しない集団のアニメーションを参加者に見てもらい、競合場面において「団体戦」と「個人戦」の勝敗を予測させた。その結果、同期性による偏りが、「個人戦」ではなく、「団体戦」の予測において見られた。具体的には、「同期する集団が団体戦に勝つ」という予測が成人(実験1)と7-8歳児(実験3)では見られ、5-6歳児(実験2)では見られなかった。また、予測理由は「連携がいいから、ひとつになっているから」など集団凝集性に言及するものがほとんどであった。これらの結果から、同期する集団に優位性を帰属する傾向が学童期で発達すること、そしてその判断には集団凝集性の認知が重要であることが明らかになった。