この度、赤ちゃん学研究センターの嘱託研究員 藤井まい先生の論文がSleep Scienceと保健医療科学に掲載されました。
1.【タイトル】
Nap patterns of children in kindergartens and childcare transit facility: a study in northern Peninsular Malaysia
【著者】Mai Fujii、Masayuki Hayashi、Cheong Lieng Teng
【掲載雑誌】Sleep Science
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2.【タイトル】
低中所得国における住民登録・人口動態統計(CRVS)の概況と国際協力
【著者】藤井まい
【掲載雑誌】保健医療科学
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この度、当センター所属 金明汶特別研究員の論文が発表されました。
【タイトル】
The relationship between elementary school students’ class social status and family social status
邦題:小学生の学級での社会的地位と家庭での社会地位の関係
【著者】金明汶
【掲載雑誌】Scientific Development of Education Vol.3 No.11 202
論文はこちらからご覧ください。
【概要】
本研究の目的は、小学生の学級での社会的地位の自己認知と家庭での社会的地位の自己認知との関係を明らかにすることであった。 中国の北京にある小学校の小学生377名を対象に質問紙調査を実施した。その結果、家庭での社会的地位について家族に受け入れられている且つ家族に対して影響力を持っているとの自己認知(家族愛的地位)は、学級での社会的地位について学級の皆に受け入れられているが学級の皆に対して影響力を持っていないとの自己認知(追随的地位)に正の影響が認められた。また、家族に受け入れられていない且つ家族に対して影響力を持っていないとの自己認知(家族排斥的地位)は、学級の皆に受け入れられていないが学級の皆に対して影響力を持っているとの自己認知(虚勢的地位)に正の影響が認められた。家族に受け入れられているが家族に対して影響力を持っていないとの自己認知(家族承認希求的地位)は、学級の皆に受け入れられている且つ学級の皆に対して影響力を持っているとの自己認知(主導的地位)に正の影響が認められた。 本研究で得られた知見は今後、教師が学級経営の際に保護者と連携して生徒指導の理論的な根拠となる。
この度、当センター嶋田容子助教の論文が「チャイルド・サイエンス」に掲載されました。
【タイトル】色知覚についての実証研究と保育における色・光の環境づくり
【著者】嶋田容子、楊嘉楽
【掲載雑誌】チャイルド・サイエンス
【概要】
「色」にはさまざまな側面がありますが、子どもたちはそのどの側面との出会い学ぶ可能性があり、保育では広く出会いの可能性を担保した環境づくりをおこなっていくことが望ましいと言えます。ただし、そのためには、乳幼児期の子どもが色や光をどのように知覚するのかを知り、適切な環境を考える必要があります。この論文では、知覚発達の新しい研究知見をまとめ、保育における環境調整や配慮の仕方を提案しました。
まず、色の見分けについては、生後2ヶ月頃から赤緑の弁別、生後4ヶ月頃から青黄の弁別が機能します。しかし、面積の小さいもの、つまり細かな色模様の弁別はこの時期にはまだできず、精度は少しずつ上がると考えられます。乳児は「新しい」刺激に興味を示すので、よく観察していると、色や模様が「見え始めた」ことは興味の強さで分かる場合があります。
また、環境内の光や照明については、照明の変化を差し引いて物の色を知覚する「色恒常性の知覚」は生後5ヶ月頃に発達します。単色光の環境では恒常性の知覚が獲得されなかったという(サルを対象にした)研究もあります。保育施設では、安全等のため蛍光灯を常時点灯する場合がありますが、ある程度の光の移ろいのある環境の方が、乳幼児に豊かな知覚経験を提供できると言えます。
光沢や立体の知覚は、生後7〜8ヶ月頃に発達します。はいはいによる移動で視覚経験の幅が広がり、立体空間を経験する機会も増える時期です。この頃に顕著になる物体への探索は、知覚経験として重要なのです。
このほか、「好み」と研究上の用語としての「選好」は同一ではなく、研究文献を読む際の解釈に必要な読み替えについても論じました。保育者が大人の見方を離れて乳児に寄り添うために、科学的知見をうまく活用してほしいと願って書いた論文です。
この度、赤ちゃん学研究センターの加藤正晴准教授の論文が「Frontiers in Psychology」に掲載されました。
【タイトル】
Longitudinal study of maternal beliefs about infant crying during the postpartum period: interplay with infant’s temperament
邦題:乳児の泣きに対する母親の受け取り方は乳児の気質と相互作用する(縦断研究)
【著者】
Daiki Hiraoka, Michio Nomura and Masaharu Kato
平岡大樹(福井大学)、野村理朗(京都大学)、加藤正晴(同志社大学)
【掲載雑誌】
Frontiers in Psychology
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【概要】
この論文では、お母さんが赤ちゃんの泣きについての感じ方・考え方が,育児の経験によって変わっていくのか,またその変化が赤ちゃんの育ちとどのように関係があるのかを調べました。そのために,生後4ヶ月までのお子さんをもつ全国約300名のお母さんを対象に,毎月一度ずつ,4ヶ月に渡ってアンケート調査を行い,赤ちゃんの泣きについての考え・お子さんの気質に関する得点を縦断的に収集しました。それによれば,泣いている赤ちゃんではなく,泣きを見聞きしているお母さん自身に焦点を当てる態度が徐々に増加していくこと,お子さんが活発に活動する傾向が強いほど,そうした泣きに対する考えの変化が生じやすいことがわかりました。
赤ちゃんは泣くのが仕事と言われ,特に産後数週間から数ヶ月は,一日に何時間も泣くことがあります。お母さんは泣き声を聞いてあやしたりミルクをあげたりしますが,時には泣き止まないこともあり,イライラを感じたり,ストレスになることも多くあります。この研究の結果からは,お母さんは赤ちゃんの泣きに日々接する中で,泣きに対する感じ方や実際の行動を少しずつ修正し,泣きに対して適応している可能性があると考えられます。こうしたお母さんの変化過程やその過程の個人差を明らかにすることで,赤ちゃんやその発達にうまく適応できず,子育てに悩む方に対して,どういったサポートが有効か考える際の手がかりになると期待されます。