2016年12月7日(水)16:00ー18:00に第六回定期セミナーを開催します。
開催場所は学研都市キャンパス快風館を予定しています。
演者は京都大学大学院医学研究科の金谷久美子研究員と、同志社大学赤ちゃん学研究センターの川西康之助教にお話し頂きます。
黄砂・PM2.5のアレルギーへの影響〜エコチル追加調査『黄砂と子どもの健康調査』より〜
金谷久美子(京都大学大学院医学研究科 研究員)
子どものアレルギーが増えている。増加の主なところはアレルギー性鼻炎や喘息、つまり吸入系のアレルギーであり、大気の関与も疑われている。動物実験では、大気中の粒子状物質にはアレルギー反応を増強するアジュバントのような作用があることが示されている。
「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」は、約10万組の親子を対象とした出生コホート調査で、近年の環境の変化・生活様式や食生活の変化など、現代に特有な何らかの刺激が子どもの健康や発達に関与している可能性を探るものである。我々は、このエコチル調査の追加調査として、黄砂等の大気汚染物質が乳幼児のアレルギーに与える影響を調査中である。当日は、その中間結果(未固定データ)を中心に、黄砂やPM2.5の子どものアレルギーへの影響について紹介したい。
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)〜北海道ユニットセンターの歩みと、独自追加調査について〜
川西康之(同志社大学 赤ちゃん学研究センター 助教/旭川医科大学健康科学講座 客員助教)
環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査」は、環境化学物質による子どもの健康への影響を明らかにすることを主な目的とした、出生コホート研究である。調査は全国15箇所のユニットセンター(UC)で実施され、約10万組の親子が参加している。北海道UCはその一つであり、札幌市、旭川市、北見市とその周辺4町を調査対象地域として、2011年より約3年間リクルートが行われ、8362名の妊婦から参加を得た。今回本研究における北海道UCの調査参加者の獲得に向けて、実際に行われた取り組みおよび、北海道UCにおいて追加で行われている調査(マタニティヨガに関する研究、スキンシップに関する研究)の概要について説明する。
同志社大学赤ちゃん学研究センターは、今まで様々な研究領域で行われてきたものを融合させ、ヒトの起点である胎児期から乳児期にかけての行動、認知、身体の発達に関する基礎的な原理を明らかにすることによって「ヒト」から「人」へとかわる発達のメカニズムを解明することを目的として設立されました。
2016年度から文部科学省により共同利用・共同研究拠点として認可され、その事業の一つとして定期的にセミナーを開催することにいたしました。このセミナーは、①人の発達にかかわる様々な研究者を結びつけ、②子育てをする養育者の方々、保育・幼稚園の関係者、看護・療育の関係者などに最新の赤ちゃん学の知見を得ていただき現場で利活用いただくことを目指しています。上記関係者の他、ご興味をお持ちの方を含め、多くの方のご参加をお待ちしています。