2018年6月19日 第11回定期セミナーを開催しました。
定期セミナーは、人の発達にかかわる様々な研究者を結びつけ、最新の赤ちゃん学の知見を得ていただき、情報共有の場となることを目指し、2016年度から「文部科学省認定 共同利用・共同研究拠点」の事業の一環として行っています。
今年度、最初の定期セミナーは、環境と子どもの発達・健康をキーワードに、平林今日子先生(京都大学 医学研究科 特定助教)、加藤承彦先生(国立成育医療研究センター 社会医学研究部 行動科学研究室 室長)にお話しいただきました。
平林先生には、「カザフスタン・セミパラチンスク核実験場近郊に住む子どもたち」をテーマに、核実験場周辺地域でのフィールドワークを通じて明らかになった「いのち・くらし・こころ」全般にわたる被害の実態と、現代まで続く影響について紹介していただきました。平林先生が現地で行った障がいや疾患を持つ子どもや保護者へのインタビューの内容からは、核実験は過去のものではなく今現在に続いている問題であるということ、現地の親子が様々な想いを抱えていることが伝わり、参加者の皆さまも熱心に耳を傾けられていました。
セミナーの後半は、加藤先生に「社会疫学の観点から見た乳幼児期の子どもの健康と発達~大規模縦断調査の分析からわかること~」をテーマに講演いただきました。
学歴や経済状況などの社会的要因が個人の健康にどのように影響を及ぼすのかを分析する「社会疫学」という学問分野に、加藤先生が関心を持つきっかけとなったアメリカでのエピソードから始まり、子どもの健康や発達と社会的要因との関係性について、様々な調査データとその分析から得られた研究成果、また今進められている研究についてご紹介くださいました。
講演の最後には、様々な立場・分野の参加者から意見・質問が挙がり、大規模縦断調査の重要性や社会疫学の可能性について活発なディスカッションが展開されました。
次回の定期セミナーは2018年8月23日(木)、児童文学作家で現在は幼児教育の現場でも活躍される斎藤惇夫先生をお迎えして、「子どもの成長と絵本」をテーマに開催する予定です。ぜひお越しください。