この度、赤ちゃん学研究センターの加藤正晴准教授の論文が「Frontiers in Psychology」に掲載されました。
【タイトル】
Longitudinal study of maternal beliefs about infant crying during the postpartum period: interplay with infant’s temperament
邦題:乳児の泣きに対する母親の受け取り方は乳児の気質と相互作用する(縦断研究)
【著者】
Daiki Hiraoka, Michio Nomura and Masaharu Kato
平岡大樹(福井大学)、野村理朗(京都大学)、加藤正晴(同志社大学)
【掲載雑誌】
Frontiers in Psychology
論文はこちらからご覧ください。
【概要】
この論文では、お母さんが赤ちゃんの泣きについての感じ方・考え方が,育児の経験によって変わっていくのか,またその変化が赤ちゃんの育ちとどのように関係があるのかを調べました。そのために,生後4ヶ月までのお子さんをもつ全国約300名のお母さんを対象に,毎月一度ずつ,4ヶ月に渡ってアンケート調査を行い,赤ちゃんの泣きについての考え・お子さんの気質に関する得点を縦断的に収集しました。それによれば,泣いている赤ちゃんではなく,泣きを見聞きしているお母さん自身に焦点を当てる態度が徐々に増加していくこと,お子さんが活発に活動する傾向が強いほど,そうした泣きに対する考えの変化が生じやすいことがわかりました。
赤ちゃんは泣くのが仕事と言われ,特に産後数週間から数ヶ月は,一日に何時間も泣くことがあります。お母さんは泣き声を聞いてあやしたりミルクをあげたりしますが,時には泣き止まないこともあり,イライラを感じたり,ストレスになることも多くあります。この研究の結果からは,お母さんは赤ちゃんの泣きに日々接する中で,泣きに対する感じ方や実際の行動を少しずつ修正し,泣きに対して適応している可能性があると考えられます。こうしたお母さんの変化過程やその過程の個人差を明らかにすることで,赤ちゃんやその発達にうまく適応できず,子育てに悩む方に対して,どういったサポートが有効か考える際の手がかりになると期待されます。