多くの赤ちゃんにみられる「人見知り」。
赤ちゃんのお母さん・お父さんなら誰でも知っている現象ですが、理由はまだ分かっていません。
「人見知りって遺伝するの?」
それとも
「育った環境のせい?」
生後半年を過ぎると多くの赤ちゃんで「人見知り」があらわれますが、個人差が大きく、時期も程度もバラバラであることが知られています。 大概は発達の途中で消えてしまいますが、そのまま人見知りを引きずる子もいます。さらに兄弟であっても違うこともあり、メカニズムは未だに不明です。
一方で、「人見知り」という言葉は日常的に使われています。人見知りがひどい赤ちゃんがいる場合、そのお母さんに対して「他人とお母さんを区別できるようになった証拠です」と言う人がいますが、そうではなく、赤ちゃんは生まれて直ぐに他人とお母さんを区別することが知られています。他人とお母さんが区別できるようになったために人見知りがあらわれたのではなく、とっくに区別がついているにも関わらず、これまで人見知りをしなかった子が、なぜか生後半年以降になると人見知り行動をとるのです。この不思議な行動に着目し、私たちは人見知りのメカニズムを明らかにすることにしました。行動としてのメカニズムの一端を、以前ご報告しましたが、人見知りが、遺伝のせいなのか、環境のせいなのか、それとも遺伝と環境の両方なのか、全く分かっていません。
そこでまずは、遺伝の影響がどれくらいあるのかについて調べるために、赤ちゃんの「人見知り遺伝子プロジェクト」を立ち上げました。
「遺伝」という言葉は、「親の体質が子に伝わること」を言います。ここでいう「体質」の中には、顔かたち、体つきのほか、性格なども含まれます「体質」は、遺伝とともに、生まれ育った環境によって左右されますが、遺伝は基本的な部分で人の体や性格の形成に重要な役割を果たしています。われわれはひとみしりの起きやすさに関係する遺伝子があるのではないかとかんがえ、その遺伝子を探しています。